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強制連行群馬訴訟・前橋地裁判決

群馬訴訟に判決

群馬弁護団 吉野 晶

2007年8月29日,前橋地方裁判所民事1部(小林敬子裁判長)は,中国人原告らの請求をすべて退ける判決を言い渡した。

判決文では,まず,事実関係を証拠に基づいて認定した。そこでは,中国人を日本国内に強制的に連行して労働に従事させることが日本の国策として遂行された事実,これに被告間組(現在青山管財と名称変更。民事再生手続中)と被告鹿島建設が関与していた事実を的確に認定した。そして,被告企業らが主張しているところの,強制連行や強制労働がなかったと言う事実主張を証拠関係から退け,かつ,被告企業らが強制連行や強制労働に加担していた事実も証拠関係から認定したのである。

これらの点については,評価されなければならないだろう。

しかし,前橋地裁は,これらの事実認定を行ったにもかかわらず,その事実を法律的に解釈した場合に,日本と企業らの共同不法行為になるのか,安全配慮義務違反行為があったのか,という肝心の法律判断を一切行わなかった。この点で判決は,極めて「杜撰」なものとの謗りを免れないだろう。

なぜそのような乱暴な判断が可能であったかと言えば,それは,2007年4月の最高裁判決(西松事件)があったからだ。

前橋地裁は,同最高裁判決を無批判に受け入れ,原告らの主張する請求権が発生していたとしても,日中共同声明により訴訟上訴求することのできない権利となっていると述べたのである。裁判所の職責を放棄してしまったかのような前橋地裁判決は,厳しく批判されなければならない。

来日していた遺族原告らが口々に抗議の声を挙げたが,それは誠にもっともなことである。強制連行や強制労働の事実があると認めておきながら,法律上の判断を避け,「何にせよあなたたちは裁判ができない」といったに等しい内容であるから,遺族原告らが納得いかないのは当然のことである。

もっとも,小林裁判長は,判決言渡後,口頭で,原告らの肉体的,精神的な苦痛は甚大であったのであるから,被告らによる任意の被害回復を期待すると述べたことは,注目されなければならない。前記最高裁判決に続き,このような内容に裁判所が触れるということは,極めて異例,かつ,重要な意味があるといわなければならない。日本や加害企業らにこの事実を知らしめ,一日も早い解決のため,中国人の方々の被害回復に積極的に尽力するよう働きかけていかなければならない。(2007年9月5日記)

以上

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